16「嘆きのセイレーン」人魚綺譚
【公演】十月劇場 1984年6月29日(金)・30日(土)・7月1日(日) 白鳥ビル8Fホール 「嘆きのセイレーン」(冒頭部分) 作:石川裕人 序章 海のざわめきがまた今夜も聞こえてくる。夜の想像の翼が羽搏こうとしてい...
『静かに「夏の思い出」が流れている。
ゆるやかな光。
かすかにそよぐ風。
五月の風。
駅のプラットホーム。
前の駅、この駅、次の駅を示す看板の文字は
はっきり読み取れない。
ひとりの年老いた女が、日傘をさし、大きな
ボストン・バッグに腰を掛け、眼鏡の度を合
わせながら小型の本を読んでいる。
女は腕時計を見ようと腕をのばしたが、その
手首に腕時計はない。
線路の彼方を宛てどなく見ていたが、再び本
を読みだす。(前文より)』
演劇ユニット石川組 第1回公演
『 隣の人々 静かな駅 』
作 石川裕人
演出 横山真
アドバイザー 小畑次郎(他力舎)
出演 絵永けい、宿利左紀子、片倉久美子、長谷野勇希